絵の具の黒の作り方|三原色と補色の黄金比率で濁らない漆黒を作る技法

絵の具の黒の作り方|三原色と補色の黄金比率で濁らない漆黒を作る技法

絵の具の黒の作り方|三原色と補色の黄金比率で濁らない漆黒を作る技法の注目ポイントを詳しく解説してご紹介します。

使用する画材のメディウム(固着材)の性質によって、混色した黒の仕上がりには決定的な挙動の差が現れます。同一の比率で混色しても、アクリルと透明水彩では定着後の見た目が劇的に変化するため、画材ごとの特性を織り込んだ調色が欠かせません。

アクリル絵の具の場合:濡れ色からワントーン暗く沈む

アクリル絵の具のバインダーであるアクリルエマルション樹脂は、絵の具が濡れている段階では乳白色を帯びています。水分が蒸発して樹脂が完全に透明化(成膜)すると、調色時よりも明度が1〜2段階低下し、色がギュッと濃く沈む特性を持ちます。

したがって、パレットの上で「ちょうど理想の漆黒になった」と感じた段階で塗布すると、乾燥後には青味や赤味が完全に塗りつぶされ、想定よりもはるかに重く硬い黒に仕上がってしまうリスクがあります。アクリル絵の具で黒を作る際は、パレット上で「わずかに青や赤のニュアンスが視認できる程度の明度」で筆を止めるのが、乾燥後に絶妙なニュアンスを残す秘訣です。

水彩絵の具の場合:乾燥後に白っぽく明度が上がる

透明水彩絵の具(アラビアゴムメディウム)は、アクリルとは真逆の挙動を示します。水で溶いて紙に定着させる過程で、水分が紙に浸透・蒸発すると、乾燥後は濡れていた時よりも確実に白っぽく明るく退色(トーンアップ)します。

水彩で締まりのある深い黒を定着させたい場合、水分量を徹底的に抑え、顔料濃度の極めて高い状態で混色しなければなりません。混色パレットの段階で「少し濃すぎるのではないか」と躊躇するほどの粘度と濃度で混色して初めて、紙の上で乾いた際に頼りなさを感じさせない重厚な黒として結実します。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。