SNSや大手質問サイトの投資フォーラムを検証すると、毎年12月下旬に「年内のNISA投資枠を使い切ろうとしたのに、翌年分の枠として処理されてしまった」という切実な投稿が急増します。このトラブルの根底にあるのが、新NISAの約定日と受渡日の関係です。
税制上の非課税枠が消費される基準は、約定日ではなく「受渡日」です。年内(12月30日等の大納会)までに受渡が完了していなければ、その取引は翌年の投資可能枠から差し引かれます。例えば全世界株式(オール・カントリー)やS&P500といった人気の海外インデックス投信は、受渡までに約5〜6営業日かかります。12月下旬のクリスマス前後に慌てて買付注文を出しても、受渡日は翌年1月第1週となり、当年の投資枠を使い切ることができなくなります。
また、SBI証券の約定日表示や楽天証券の約定日管理画面におけるUIの違いも、混乱を招く要因です。注文照会画面で「約定済」と緑色のステータスで表示されると、多くのユーザーは取引口座間での資金移動が完了したと錯覚します。しかし、詳細画面を開くと「受渡日:〇月〇日」と小さく別枠で記されているケースが大半です。
さらに見落とされがちなのが、約定日の取消変更ルールです。注文が「未約定」であれば注文取消や価格変更が可能ですが、市場で一度「約定」が成立した瞬間、いかなる理由があっても注文の取消や訂正は一切認められません。誤発注に気付いて慌ててキャンセルボタンを探しても、すでに手遅れとなります。反対売買(売り建て、または買い戻し)を行ってポジションを解消するしかなく、市場の価格変動リスクを直接被ることになります。