このマイケルの賭けは、テレビビジネスの歴史をも劇的に塗り替えました。前年の1992年、裏番組として放送されたコメディ特番に視聴者を大量に奪われた米テレビ局NBCとNFLは、ハーフタイムの視聴率急落を食い止めるためにマイケルの招聘に踏み切りましたが、その結果は関係者の予想を遥かに上回る大成功となりました。
なんと、スーパーボウルの歴史上初めて「アメフトの試合本編よりもハーフタイムショーの視聴率が高い」という大逆転現象が発生したのです。全米での瞬間視聴者数は1億3340万人を記録し、全米世帯視聴率は45.1%、占拠率は驚異の66%に達しました。ダラス・カウボーイズがバッファロー・ビルズを圧倒したワンサイドゲームであったにもかかわらず、人々はテレビの前から離れず、マイケルのパフォーマンスに釘付けになりました。
静止から解き放たれたマイケルは、鋭いビートの『Jam』から『Billie Jean』『Black or White』を畳み掛け、最後にはスタジアム中央に巨大な地球型バルーンを出現させて『Heal the World』を大合唱しました。この圧倒的な成功によって、スーパーボウルのハーフタイムショーは「世界中のトップアーティストがキャリアを懸けて挑む最大のショーケース」へと昇華したのです。