ニクラウスのスイングは、現代の理論から見ても非常に理にかなったパワーと再現性を備えていました。最大の特徴は、バックスイングで右ひじが体から離れる「フライングエルボー」と、ダイナミックな左足のヒールアップです。これにより大きなアップライト軌道を描き、当時の選手としては群を抜く圧倒的な飛距離と高い弾道を生み出しました。
一方で、球筋はコントロール性に優れたハイフェードを基本としていました。左サイドへのミスを極限まで排除し、どんなプレッシャー下でもフェアウェイを捉え、硬いグリーンに上からボールを止める技術は芸術の域に達していました。アドレス時にはターゲットラインを後方から入念に確認するプレショットルーティンを徹底し、ショット前の視覚化(ビジュアライゼーション)を最初期に完成させたパイオニアでもあります。
道具に対するこだわりも人一倍強く、名器と称される「マクレガー(MacGregor)」のトミーアーマーアイアンやパーシモンドライバーを巧みに使いこなしました。後に自ら立ち上げたゴルフギアブランドでも、アマチュアが安心してボールを上げられる低重心設計や高品質なブレードアイアンを世に送り出し、道具への造詣の深さでも高い評価を得ています。