再生のために施したはずの根切りによって、かえって芝生を全滅させてしまう悲劇は現場で頻繁に目撃されます。芝の根切り枯れる原因と真相を掘り下げると、共通して「時期の選択ミス」と「過度な負荷」という二大要因が浮き彫りになります。
最も危険なのは、地温が上昇しきった真夏(7月〜8月)に根切りを実施してしまうケースです。高麗芝根切り季節として鉄則とされるのは、冬の休眠から目覚めて萌芽が本格化する「3月中旬から5月中旬」の春季、または夏越しを終えた「9月上旬から10月上旬」の初秋です。35度を超える猛暑日や強い直射日光の下で地下茎を切断すると、傷口から急激に水分が蒸散し、回復に必要な光合成産物を作る前に乾燥ストレスで組織が壊死します。また、真冬の完全休眠期に根を切った場合も、発根能力がゼロのまま土壌凍結や乾燥風に晒され、春に芽吹くことなく枯れ果てるリスクがあります。
もうひとつの落とし穴が「切断深度と密度の過剰」です。早く若返らせたい一心で、深さ15センチ以上の深層まで連続して切り刻んだり、5センチ四方のような極端に狭い間隔で格子状の切れ込みを入れたりすると、植物体が自立を保つためのアンカー根まで断ち切られます。土壌から浮き上がった芝草は水分の供給路を完全に失い、茶褐色に変色して枯損します。根切りの刃を入れる深さは7センチから10センチ程度、スリットの間隔は15センチから20センチ四方にとどめるのが、安全性を担保するプロの現場基準です。