明瀬山光彦の相撲人生において、最大のクライマックスと言えるのが2021年初場所での大躍進だ。当時35歳5ヶ月。幕内復帰を果たした彼は、初日から破竹の6連勝を飾り、国技館を大歓声の渦に巻き込んだ。ベテランの快進撃はテレビやSNSでも大々的に取り上げられ、日本中のお茶の間に勇気を与えた。
年齢による衰えや怪我の再発というリスクを抱えながらも、なぜ彼はあそこまで躍動できたのか。答えはシンプルだ。己の限界を決めつけず、土俵に立てる喜びを全身で表現していたからに他ならない。「遅咲き」と評されることも多いが、その咲き誇った大輪の花は、多くのファンと関係者の記憶に深く刻み込まれたのだった。