一般的に「ワンチャン」は英語の「one chance(一度の好機)」を略した和製英語と認識されがちですが、日本語スラングとしての直接的な発祥は麻雀用語の「ワンチャンス」にあります。
麻雀におけるワンチャンスとは、4枚ある同種の数牌のうち3枚が場に見えている状態を指す守備理論です。残り1枚が相手の手牌で使われていない限り通る可能性が高いため、「1回限りの勝負牌として通る見込みがある」という極めて戦略的な安全度の推測から使われてきました。雀荘や学生サークルの卓上で交わされていた「これ、ワンチャンあるぞ」という駆け引きの符丁が、やがてゲーム全般、そして日常のあらゆるシチュエーションへと転用されていった歴史が存在します。
文化庁が定期的に実施する国語に関する世論調査やネット言説のアーカイブを遡ると、2000年代後半に大学生の間で広がりを見せ、2010年代前半にはギャル文化やTwitter(現X)の普及とともに爆発的な拡散を記録しました。一部で囁かれた「犬のワンちゃん」に由来する誤解は完全に俗説であり、勝負事の土壇場から生まれたリアリズムこそが語源の正体です。