当時のお茶の間において、加津の存在は単なる人気子役の枠を遥かに超えていました。放送当時の反響や、現在もネット上で語り継がれるリアルな声を検証すると、彼女が視聴者に与えたインパクトの特異性が浮き彫りになります。
「かずちゃんが大人を理詰めで論破するシーンを見て、子どもながらに胸がすいた」「親が言っている理不尽な理屈を代弁して言い返してくれた」という同世代からの共感がある一方で、年配層からは「生意気すぎる」「もっと子どもの可愛げを持つべきだ」といった反発の声も寄せられていました。賛否両論が激しく巻き起こること自体が、橋田壽賀子氏が狙った「旧来の家族観への問題提起」が成功していた証拠です。
また、テレビ関係者の間では「橋田ドラマの台本は一言一句のアドリブも許されず、句読点まで正確に覚えなければならない」という鉄の掟が知られています。A4用紙数ページに及ぶ長台詞を、感情を乗せて完璧に発声し続けた宇野なおみさんの職人技は、演出陣や共演のベテラン俳優たちからも畏敬の念を持って称賛されていました。