ソーシャルメディア上では「特定店舗で転売ヤーが買い占めている」「すでに全店で廃盤になった」といった極端な噂が定期的に拡散されます。しかし、綿密な流通調査を行うと、それらの言説の多くは現場の構造的要因からくる誤認であることが分かります。
最大の盲点は、前述した「見かけ上の品切れ」です。棚には「Q・X・Z・V」がびっしり残ったシートが放置されているため、遠目には在庫があるように見えても、実質的に誰も買わない「死に在庫」と化している現象が現場で起きています。店舗の発注システムは自動補充を採用している場合が多く、棚全体のSKU(在庫管理単位)が一定数を下回らないと新規発注がかかりません。つまり、「いらない文字だけが残っているせいで、新しいアソートが入荷されない」というシステム上のボトルネックこそが品薄の主因であり、組織的な買占めだけが原因ではないのです。
さらに耐久性に関する誤解もあります。「100均のシールはすぐ剥がれる」という評価がある一方、直射日光に当たるスマートフォンケースの外側に貼ると、数週間で箔押しが摩耗して下地が露出するケースがあります。これは製品の接着強度の問題というより、想定されている用途の違いです。外部との接触が多いアイテムに施工する場合は、透明なトップコートを塗布するか、インナーシートとしてケースの内側に挟み込む仕様にするのが定石です。