愛猫が前脚を振り上げた時、それが「遊ぼう」という誘いなのか、「これ以上近づくな」という警告なのかを見分ける鍵は、全身のボディランゲージに隠されている。猫の行動シグナルを注意深く観察することで、真意は明白になる。
『ざんねんないきもの事典』の監修などでも広く知られる動物行動学者・今泉忠明氏は、猫の細やかな表情変化と動作の相関関係について度々言及している。耳が後ろに伏せられた状態、いわゆる「イカ耳」になり、髭が頬の後方へ引き絞られている場合、その打撃は明確な拒絶や警戒を意味する。爪がわずかでも露出していれば、不用意に手を伸ばすのは危険だ。
一方で、瞳孔が丸く見開かれ、耳が正面を向き、髭が前方に向けられている時の繰り出しは、親愛の情や純粋な遊戯欲求のあらわれだ。肉球の柔らかい部分だけを当てる「ソフトパット」の猫パンチは、信頼関係が築かれている証拠にほかならない。