ピクサーの公式アーカイブおよびキャラクター設定資料によると、レックスのモデルとなっている恐竜の種類は白亜紀末期に生息した最強の肉食恐竜「ティラノサウルス(T-レックス)」です。しかし、プラスチック製のトイであるレックスは、獰猛なハンターとしての本能をまったく持ち合わせていません。むしろ「自分が他の恐竜ほど怖くないのではないか」「アンディに捨てられてしまうのではないか」という強い自己否定感と不安を常に抱えています。
ファンコミュニティや作中でたびたび笑いを誘うのが、レックスの手が極端に短い理由とそれにまつわるエピソードです。古生物学的にティラノサウルスの前肢が非常に小さいという特徴を忠実にデフォルメした結果ですが、劇中ではこれが巧みな演出装置として機能しています。例えば『トイ・ストーリー2』では、テレビゲームのコントローラーを操作しようとするものの、指がボタンに届かずパニックに陥るシーンが描かれました。身体的ハンディキャップを悲劇にせず、誰もがクスッと笑える親しみやすさへ転換するピクサーの手腕が光るポイントです。