なぜこの地に大地を司る神が鎮座し続けるのか。その真相は、信州の中央に位置し、古代から交通と農耕の要衝であった塩田平の地勢にある。山々に囲まれ、豊かな実りをもたらすこの盆地は、古人にとって「国土の中心」として映ったに違いない。荒れ狂う自然を鎮め、豊かな実りを大地に祈るための拠点として選ばれたのが、この島状の神域であった。
現在、参拝者がその霊威を余すところなく体感するための動線は、大鳥居から神橋を渡り、神池の島に建つ下之宮へと向かうルートが基本となる。島の中央に立つ下之宮で大地の息吹に手を合わせた後、向かい合うように建つ諏訪神化身の「上之宮」へと参ることで、陰陽の調和が整うと伝えられている。授与所で拝受できる限定御朱印には、歴史ある神紋と季節の意匠が美しくあしらわれ、武田信玄の筆跡を模した特別な押印が施されたものも注目を集めている。静寂の中で墨の香りに触れる時間は、日々の喧騒を忘れさせる特別なひとときだ。