台所以外の場所、とりわけ浴室や脱衣所で遭遇した場合に手に取りがちなのが、シャンプーやボディーソープ、液体ハンドソープです。「同じ洗剤なのだから同じように効くはず」という認識は、半分正しく半分は誤りを含んでいます。
決定的な違いは界面活性剤の濃度と配合設計にあります。一般的な台所用洗剤(食器用洗剤)は、頑固な油汚れを落とす目的から、界面活性剤の濃度が25%〜35%前後と極めて高濃度に設計されています。対して、人体に直接触れるシャンプーやボディーソープは皮膚刺激を低減するため、界面活性剤の比率は10%〜15%程度に抑えられ、残りの大半は精製水、保湿剤(グリセリン等)、増粘多糖類で構成されています。
実際に検証すると、シャンプー原液でも油膜を破り気門を塞ぐ作用自体は働きます。しかし、濃度が低いため油膜を乳化するまでにタイムラグが生じ、完全に行動不能となるまでに数分を要するケースが目立ちます。その間にゴキブリが激しく暴れ回り、狭い隙間へと逃げ込んで息絶える「見失い事故」を招く要因になりかねません。浴室であればシャンプー原液をピンポイントで投下する価値はありますが、食器用洗剤ほどの電撃的な停止力は期待できないのが冷徹な事実です。