なぜ数ある数字のなかから「1000画」でも「999画」でもなく、中途半端にも思える「1024画」という値が選ばれたのでしょうか。ここに、本件の出自を読み解く最大の鍵が隠されています。
ITや情報科学に明るい方であればピンとくる通り、「1024」はコンピュータの世界における極めて基礎的な基数、すなわち「2の10乗(2^10 = 1024)」です。デジタルデータにおいて、1キロバイト(KB)は1000バイトではなく1024バイトとして定義されます。この事実から明らかなように、この漢字は古典文献学者ではなく、プログラミングやデジタル技術に精通したネットユーザーの手によって設計されたパロディなのです。
発祥の地をたどると、中国の大手掲示板「百度貼吧(Baidu Tieba)」の文字愛好スレッドや、日本の5ちゃんねる、さらには海外のギークコミュニティにおいて、「文字コードの限界を試す」「部首をバイナリ的に倍々ゲームで増やしていく」という実験的スレッドが契機となった形跡が確認できます。
リアルタイムでこの現象を目の当たりにしたSNSユーザーのログを分析すると、以下のような反応のグラデーションが見て取れます。
「テストの答案用紙に書くだけで試験時間が終わる」「漢字というよりグラフィックのテクスチャ破損」「2の10乗なのがいかにもオタクの発想で最高に笑える」といった肯定的な面白がり方が大半を占める一方、「本気で辞書を探して無駄骨を折った」という困惑の声も散見されます。デジタルネイティブが生み出した高度な言葉遊びが、真偽曖昧な都市伝説として一人歩きした典型例といえるでしょう。