実際のエアコン設置現場では、どのようなトラブルが頻発しているのでしょうか。住宅設備施工を手掛けるベテラン電気工事士への取材からは、見落とされがちなリアルな実態が浮かび上がります。
「リフォーム現場や賃貸住宅の点検に入ると、室内機のアースはコンセントに接続されているものの、室外機のアースが完全に放置されているケースが散見されます。最近の高効率インバーターエアコンは室外機側に強力なパワー半導体と高出力モーターを搭載しており、雨風にさらされる環境も相まって、実は室内機以上に絶縁破壊リスクが高いのです」
室外機の接地工事を行う場合、室内機のコンセント側からアースが渡っているタイプであれば単独接地を省略できる設計もありますが、室外機から直接大地へアース棒を打ち込む際は、「室外機アース線太さ」としても当然1.6mm以上の耐候性IV線を使用し、D種接地抵抗値(通常100Ω以下)を確保することが求められます。
さらに現場で注意を要するのが、エアコンアース端子の種類に応じた施工ミスです。住宅の壁面コンセントには主に以下の3タイプが存在します。
- ネジ止め式端子:カバーを開けて金属座金付きネジに芯線を巻き付けるタイプ。単線(1.6mm)なら「のの字曲げ」で右回りに巻き込み、より線なら必ずY型圧着端子(先開形)等を使用しないと、ネジ締め時に素線が逃げて接触不良を起こします。
- プッシュワンタッチ式端子:ボタンを押して芯線を差し込むだけで固定されるタイプ。規定ストリップ長(被覆剥き長さ約10〜12mm)を守った1.6mm単線、または専用棒端子で処理された線でなければ十分な保持力が得られません。
- アースターミナル付き接地極付コンセント(3穴タイプ):プラグ側にアースピンが付いているタイプ。プラグを差し込むだけで接続が完了するため最も確実ですが、コンセント自体の裏配線に1.6mm以上のIV線が確実に接地されていることが前提です。