天然痘を人類はなぜ根絶できたのか?致死率3割の恐怖とウイルスの現在

天然痘を人類はなぜ根絶できたのか?致死率3割の恐怖とウイルスの現在

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天然痘(痘瘡)を引き起こすのは、ポックスウイルス科に属する大型のDNAウイルス「痘瘡ウイルス(Variola virus)」です。感染力は極めて強烈で、主な感染経路は感染者の咳やくしゃみによる飛沫感染、ならびにウイルスを含む発疹の滲出液や汚染された寝具・衣服を介した接触感染でした。

平均10〜14日ほどの潜伏期間を経て発症すると、まず40度前後の急激な高熱、激しい頭痛、腰痛、嘔吐といったインフルエンザに似た初期症状に襲われます。その後、解熱傾向と同時に顔面や四肢の末端から特徴的な発疹が出現。発疹は紅斑から丘疹、水疱、そして膿がたまる「膿疱(のうほう)」へと急速に変化し、全身の皮膚を隙間なく埋め尽くしていきます。

病状が重篤な「大痘瘡」の場合、致死率は約20〜40%(平均30%前後)に達しました。特に重症例では皮下出血や内臓出血を伴う出血性天然痘となり、発症から数日で命を落とすケースも珍しくありませんでした。一命を取り留めたとしても、皮膚には生涯消えない陥凹した瘢痕(あばた)が刻まれ、角膜に病変が及んだ場合は失明を引き起こすなど、肉体と精神の双方に深い爪痕を残したのです。

高橋 健太
著者

高橋 健太

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。