竿釣りの熱狂の裏で、三面川には秋の訪れとともに繰り広げられる世界唯一の伝統漁法がある。それが居繰網漁(いぐりあみりょう)だ。小舟を巧みに操る船頭と網を操る漁師が呼吸を合わせ、川底を流れる網へとアユを誘い込む。その光景は息をのむほど美しく、力強い。
この居繰網漁は単なる観光向けの見せ物ではない。川の深浅、潮流のミリ単位の変化、魚の群れの動きを肌で察知する内水面水産業の極致だ。江戸時代から代々受け継がれてきた網の打ち方や船の同調技術は、川と人間が長い年月をかけて築き上げた共生の知恵そのものであり、過酷な自然と対峙してきた職人たちのプライドがそこに宿っている。