自己破産や離婚といった人生の嵐の中で、真行寺君枝を支え続けた最大の原動力は、ひとり息子である弦人(げんと)氏の存在でした。大口広司氏との間に生まれた弦人氏は、両親の芸術的DNAを色濃く受け継ぎ、現在はミュージシャンとして独自の音楽活動を展開しています。
母子家庭として過ごした年月において、真行寺君枝は決して息子に対して「芸能人の子ども」としての過度な期待やプレッシャーを押し付けることはありませんでした。当時の手記や知人の証言によると、家庭内ではひとりの母親として徹底して愛情を注ぎ、食生活や情緒的なケアを最優先にしていたといいます。
成人し自立した弦人氏と真行寺君枝は、現在も互いの表現活動をリスペクトし合う極めて良好な親子関係を保っています。息子のライブに足を運んだり、家庭内で音楽やアートについて語り合ったりする様子は、共依存に陥りがちな芸能人家庭の親子関係とは対極にある、健やかな「心理的自立」の好例といえます。