「ツルツルした平滑な面」と「凸凹したざらつきのある面」、画用紙の表はどちらなのか。ネット上の知恵袋やコミュニティでも定期的に議論が巻き起こるテーマですが、製紙工学および画材業界における正式な回答は、「凹凸(シボ)があり、ざらざらしている面が表」です。
紙を製造する際、パルプを溶かした原料は「ワイヤー(網)」の上を通り、水分を脱水しながら「フェルト(毛布)」で挟み込まれてプレスされます。このとき、網に接していた側(ワイヤー面)は網目が押しつぶされて比較的ツルツルとした平坦な質感になり、フェルトに接していた側(フェルト面)には自然な起伏やシボが生まれます。このフェルト面こそが、画材の乗りを計算して作られた「正規のオモテ面」なのです。
画用紙裏表見分け方には、プロの現場でも用いられる3つの即効アプローチがあります。
ひとつ目は「斜めからの光透かし」です。卓上ライトなどの光源に対し、紙を斜め30度程度に傾けて表面を見ます。細かな陰影が立体的に浮き上がって見える側が表、平坦で反射が一様な側が裏です。
ふたつ目は「指の腹による触診」です。親指と人差し指で紙を挟み、軽く滑らせてみます。明確な引っ掛かりと豊かなテクスチャを感じる側が表、摩擦が少なく滑らかな感触が裏となります。
みっつ目は「パッケージや帯の向き」の確認です。スケッチブックとして綴じられている場合、表紙を開いてそのまま見える面が表です。また、包み紙や帯がついた状態の平判では、印刷ラベルが貼られている正面側を上にして重なっている面が原則として表を向いています。
ただし、現代のアート表現において「裏面に描いてはいけない」という絶対の罰則はありません。ツルツルした裏面はペン先が引っ掛かりにくく、インクの細密画やサインペンによる滑らかな線画にはあえて裏面を活用する作家も存在します。大切なのは、水彩絵の具の顔料を紙の凹凸でしっかりと受け止め、豊かな階調やにじみを表現したいときには、必ず表を使うという基本知識です。