この車が単なる高級限定車に留まらず、モータースポーツの神話として語り継がれている最大の契機が、LFA ニュルブルクリンク 最速記録 達成の経緯にあります。2011年8月31日、ドイツのニュルブルクリンク北コース(ノルドシュライフェ)において、レーシングドライバーの飯田章氏がステアリングを握り、驚愕のラップタイム「7分14秒64」を叩き出しました。
当時、ポルシェ911 GT2 RSなど欧州の強力なライバルたちがしのぎを削る中、日本の市販量産車・市販標準タイヤ(ブリヂストン・ポテンザRE070)によるこの記録は、世界中の自動車メディアとエンジニアに強い衝撃を与えました。単なる直線番長ではなく、路面がうねりジャンピングスポットが連続する「緑の地獄」を完全にねじ伏せるロードホールディング性能を実証した瞬間でした。
当時の特番インタビューや手記において、飯田章氏は「ステアリングを握りながらマシンと完全にシンクロし、命を削るような集中力で限界領域を攻め切った」とその壮絶なアタックの舞台裏を振り返っています。テストドライバーとしてLFA開発の礎を築きながら2010年に現地で急逝した故・成瀬弘チーフテストドライバーの遺志を継ぎ、トヨタの開発チームが総力を注いだ意地と情熱の結晶こそが、この7分14秒64という数字に凝縮されています。