「何も余計なものを食べていないのに、なぜ体重が増えるのか」。この疑問に対する医学的な回答は極めて明確です。最大の引き金となっているのは、排卵後から分泌が活発になる女性ホルモンの一つ、黄体ホルモン(プロゲステロン)です。
プロゲステロンには、受精卵が着床しやすいように子宮内膜を厚く保ち、妊娠を成立・継続させる重要な役割があります。この過程で、母体を守るための防衛本能として「栄養と水分をできる限り体内にため込もうとする生体反応」が強く働きます。これが、生理中のむくみと水分をため込むメカニズムの本質です。
プロゲステロンは腎臓の尿細管に作用し、ナトリウム(塩分)と水分の再吸収を促進します。その結果、全身の毛細血管から細胞間隙へと水分が滲み出し、顔、手足、下腹部などに水分が滞留します。これが激しいむくみとなって現れるわけです。一般的に体脂肪を1キロ増やすためには、消費カロリーを約7,200kcal上回るエネルギー摂取が必要とされます。1〜2日の間に突然1〜2キロ増えたとしても、物理的にそれだけの脂肪がつくことはあり得ません。増えた重さの正体は、ほぼ100%「水分と腸内容物の重み」です。
さらに、プロゲステロンには腸の平滑筋を弛緩させる作用もあります。腸の蠕動運動が鈍くなるため便秘が起きやすくなり、排泄されるべき便やガスが腸内に滞留することも、体重を底上げする大きな物理的要因となっています。