現代の日本において「七夕に雨が降ると天の川の水かさが増して織姫と彦星は会えなくなる」と信じられることが多いですが、本来の東洋神話における七夕の雨とカササギの伝説には、正反対の2つの解釈が存在します。
1つは、雨によって天の川が氾濫した際にこそカササギが出動するという説です。水流が激しく渡渉が不可能になったとき、空を飛ぶカササギたちが天の川の上に緊急の橋を架けることで、増水に関わらず2人を逢わせるという救済者としての描写です。
もう1つは、七夕に降る雨そのものを「催涙雨(さいるいう)」または「洒涙雨(せんるいう)」と呼ぶ伝承です。これは再会を喜ぶ2人の嬉し涙、あるいは翌朝の別れを惜しむ悲しみの涙が地上に雨となって降り注ぐという情緒的な解釈です。いずれにせよ、雨だからといって逢瀬が完全に絶望視されていたわけではなく、カササギの献身によって結ばれる奇跡が語り継がれてきました。