バンド最大のヒット曲である『ロビンソン』にも、長年ファンの間で語り継がれる有名な仮説が存在します。スピッツのロビンソンの歌詞の意味を考察する際、サビで繰り返される「誰も触れない二人だけの国」というフレーズを「現世ではない彼岸(死後の世界)」と捉える解釈です。「河原の道を自転車で走る」という何気ない日常描写のあとに続く、絶対的な孤立の描写が、心中や後追い自殺のメタファーとして語られてきました。
さらに直接的な疑惑を持たれているのが名曲『青い車』です。爽快なギターリフが印象的な一曲ですが、ファンの間ではスピッツの青い車の心中説が半ば定説のように語られることがあります。歌詞中に登場する「輪廻の果てへ飛び下りよう」「冷えた僕の手が君の首すじに咬みついて」といったフレーズは、愛する相手とともに海へ飛び込むドライブを連想させずにはいられません。
こうしたスピッツの都市伝説的な歌詞は、単なるネット上のこじつけと切り捨てることはできません。あえて具体的な状況を限定せず、日常と隣り合わせにある死の気配を詩的に織り込む技法こそが、リスナーの好奇心と妄想を掻き立て続ける要因となっています。