性差による身体構造の違いは、腕組みポーズにおいて最も顕著に現れます。同じ「腕を組む」という動作でも、骨盤と肩幅の比率、筋肉量、そして脂肪の付き方によってシルエットが根本から変化します。
腕を組む男性イラストを描く際の中核は、「重厚感」と「スペースの広がり」です。男性は鎖骨が太く横に長いため、腕を組んだ際に両肘の間の距離が広くなります。腕組みによって大胸筋が押し上げられ、上腕二頭筋と前腕の筋が緊張するため、袖のシワは肘の外側から胸の中心に向かって放射状に強く走ります。拳を力強く握り込むような仕草を加えることで、強靭な意志や自信を演出できます。
一方、腕を組む女性イラストでは、「華奢な骨格」と「バストの立体変形」の相関が最大の魅せ場となります。女性の肩幅は骨盤幅と同等かそれ以下であるため、肘を内側にギュッと引き締めるポーズが自然です。腕がバストの下に入り込む場合は下から押し上げる「たわみ」が生じ、バストの上で組む場合はやや顎を引き気味の防御的なニュアンスが生まれます。手首を柔らかく反らせ、指先を優しく二の腕に添える描写が、女性らしい繊細さを引き立てます。
また、腕組みアオリ俯瞰構図における視点変化への対応も必須です。アオリ(見上げ構図)では前腕の下側と顎の下が大きく見え、肘が手前に突き出して見えるため、パースを強めに効かせて手前側の前腕を太く描きます。逆に俯瞰(見下ろし構図)では、頭頂部と両肩のアーチが画面を支配し、組んだ腕は胸の影に隠れがちになるため、頭部との距離感を狂わせないアタリ取りが成否を分けます。