『吉木りさに怒られたい』が誕生した2014年当時、深夜帯の民放各局は低予算の中でいかにソーシャルメディア上の拡散を巻き起こすかという実験場となっていました。その口火を切ったのがテレビ東京です。当時、グラビアアイドルやタレントとして端麗なビジュアルと明るいキャラクターで親しまれていた吉木りさを起用し、「ただひたすら怒られるだけ」というワンシチュエーション番組を立ち上げたのが全ての始まりでした。
番組プロデューサーや制作スタッフが明かした企画経緯によると、発端は「美しい女性に本気で怒鳴られたら、男性は恐怖を感じるのか、それとも別の感情を抱くのか」というシンプルな知的好奇心とフェティシズムの探求でした。従来の男性向けグラビア番組のような媚びや甘やかしを一切排除し、カメラのレンズ越しに視聴者と1対1で対峙させる「POV(主観視点)演出」を採用。このミニマムかつ尖り切った設計が、深夜の視聴者の心を直撃しました。
当時の吉木りさ本人のインタビューや手記を振り返ると、当初は「なぜ自分がそこまで激しい怒号を浴びせなければならないのか」と戸惑いを隠せなかったと吐露されています。しかし、現場で監督から「一切の手加減をせず、相手を本気で見下して罵倒してほしい」と演出指導を受けたことで腹を括り、持ち前の演技力と表現力を極限まで振り切った怪演へと昇華させた経緯が語られています。