インターネット上の言説では、「圧倒的な選手層と資金力があるのだから、ソフトバンクが勝つのは当たり前だ」という論調がしばしば見受けられます。しかし、プロ野球の現場を長年追ってきた記者として断言できるのは、大型戦力であることがそのまま常勝の保証にはならないという現実です。
戦力が分厚いチームほど直面するのが、スタメンを外れた実力者のモチベーション管理や、選手個々の「心理的安全性」の維持という高度な組織課題です。ベンチに入りながらも出番が限定される主力級選手が不満を抱けば、チーム内のケミストリーは一瞬で崩壊します。2026年のホークスが強さを維持している真の理由は、単なる個のタレント力ではなく、小久保監督が徹底する「起用理由の明確な言語化」と「役割の明確化」にあります。
また、「長打力頼みの強引な攻撃」というかつてのパ・リーグ像も完全な過去のものです。今季のホークスは、カウントに応じた進塁打の徹底や、相手守備陣の隙を突く積極的な次塁奪取など、スモールボールの基本原則を徹底しています。派手なホームランの影に隠れがちな、こうした地道な自己犠牲の積み重ねこそが、ネット上の俗説とは異なる勝敗の真実です。