DIY情報サイトや一部の非構造系工事コミュニティにおいて、「ブロック塀の増設や基礎の打ち継ぎは、ハンマーで叩き込む差筋アンカーで十分代用できる」という誤解が散見されます。しかし、これは構造安全上、極めて危険な認識です。
簡易的な打込み式差筋アンカーは、孔底での拡張力のみで保持される構造となっており、振動や繰返し荷重を受けると初期剛性を維持できずに容易に引き抜けます。過去の震災被害調査(2016年熊本地震や2024年能登半島地震など)における擁壁やブロック塀の倒壊事例を分析すると、新旧コンクリート接合部での差筋抜け出しによる界面破壊が多数報告されています。
また、「母材コンクリートの既存鉄筋を切断しても1本程度なら問題ない」という致命的な誤認も存在します。耐震壁や柱の主筋を削孔時にコアビットで切断してしまうと、建物本来の耐震性能を著しく損ないます。非破壊での鉄筋探査作業を省略して削孔することは、コンクリート構造物の主骨格を傷つける不可逆的な施工過誤です。