インターネット上のミリタリーフォーラムやSNSにおいて、F-2は時折「単価が高すぎるF-16の改造機」「調達機数を減らされた失敗作」といった短絡的な批判に晒されることがあります。しかし、防衛装備政策と産業構造の観点から検証すると、それらは本質を見誤った誤解であることが分かります。
第一に、「1機あたり約120億円という高価格」への批判についてです。当初予定されていた130機以上の調達計画が、冷戦終結後の防衛費削減のあおりを受けて最終的に94機(量産機)で打ち切られたため、初期開発投資の固定費が機体単価を押し上げたことは事実です。しかし、F-2開発で確立されたCFRP一体成型技術や先進アビオニクス技術は、後にボーイング787旅客機の主翼製造契約の獲得や、米国のF-35ステルス戦闘機向けコンポーネント製造へと直接還元されました。つまり、日本の航空宇宙産業全体に対する巨大な技術的波及効果をもたらしたのです。
第二に、「初期レーダーの不具合=欠陥機」という説です。配備初期のJ/APG-1において目標探知・追尾アルゴリズムに課題が生じたのは事実ですが、これはソフトウェアの継続改修と、後継の窒化ガリウム(GaN)素子技術を取り入れた近代化改修型「J/APG-2」レーダーへの換装によって完全に克服されました。現在では米軍の最新鋭APG-83(SABR)レーダーに匹敵する探知・同時目標処理能力を獲得しています。
第三に、「対艦専用で空中戦ができない」という誤謬です。F-2は優れた主翼翼面積と推力重量比を持ち、格闘戦能力(ドッグファイト)においても極めて高い旋回率を誇ります。さらに国産のアクティブ・レーダー誘導弾「99式空対空誘導弾(B)(AAM-4B)」の運用能力を付与されたことで、目視外射程(BVR)戦闘においても第4.5世代機トップクラスの空中戦能力を備えています。