大野智が活動休止を決断した直接の引き金は、2017年6月にメンバーへ打ち明けた「一度何事にも縛られず、自由な生活がしてみたい」という告白でした。しかし、その背景には四半世紀にわたってトップを走り続けた表現者特有の重圧が存在していました。
1999年のデビュー以来、大野は嵐のメインボーカルとして抜群のピッチ感と透明感あふれる歌唱力で楽曲の骨格を支え、自ら振り付けを手掛けるほどの高度なダンス技術でグループのクオリティを牽引してきました。ソロ曲や『曇りのち、快晴』(矢野健太 starring Satoshi Ohno名義)などに見られる圧倒的なボーカルパフォーマンスは、同業者やプロの音楽家からも極めて高い評価を得ていたのです。
一方で、繊細な芸術家肌でもある大野は、作品制作展『FREESTYLE』の開催に見られるよう、内なる表現欲求と商業アイドルとしてのパブリックイメージとの乖離に長年葛藤してきました。分刻みのスケジュール、常に衆人環視に晒される日常、そして「嵐のリーダー」という重責。責任感が強い彼だからこそ、グループの20周年という大きな区切りまで全力を注ぎ切った結果、精神的・肉体的なエネルギーが極限まで枯渇した「バーンアウト(燃え尽き)状態」に達していたことは想像に難くありません。