ネット上や日常会話では「音が鳴るまで10秒以上あればまだ安全」「数キロ離れているから雨が本降りになるまで作業を続けよう」といった言説が散見されます。しかし、気象庁や日本大気電気学会の公式見解に基づけば、「雷鳴がかすかでも耳に届いた時点で、すでに命に関わる落雷の射程圏内に入っている」というのが防災上の決定的な定説です。
一般に、地上で雷鳴が聞こえる限界距離はおよそ10km〜15kmとされています。一方、発達した積乱雲(雷雲)の水平方向の広がりは数キロから、巨大なメソ対流系では数十キロにも及びます。さらに、稲妻は雲から地上へと垂直に落ちるだけでなく、雲の中や雲と雲の間を水平方向に10km以上も走った末に、青空が広がっている地上へ唐突に落雷する「青天の霹靂(ボルト・フロム・ザ・ブルー)」と呼ばれる現象を引き起こします。
つまり、秒数をカウントして「3km先だからまだ逃げなくて平気だ」と考えているその足元こそが、次の放電ルートの直下である可能性が否定できないのです。