幻肢痛の治療は、単一の治療法に頼るのではなく、痛みの段階や性質に応じて薬物療法、非侵襲的ニューロリハビリテーション、外科的アプローチを組み合わせる集学的治療が標準となっています。
薬物療法では、カルシウムチャネルα2δ受容体結合薬であるプレガバリンやミロガバリンが第一選択薬として広く処方されます。神経の過剰興奮を鎮める効果があり、痛みの鋭さを鈍らせる上で高い実績を持ちます。痛みの性質に応じて、三環系抗うつ薬やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、弱オピオイド系薬剤などが併用されます。
神経リハビリテーションの分野では、古典的な鏡療法(ミラーセラピー)が今なお確固たる地位を保っています。鏡を身体の中心に置き、健側の手足を映しながら両側を同時に動かすことで、脳に「失った手足が正常に動いている」という強烈な視覚情報をフィードバックします。これにより、硬直していた幻肢のイメージがほぐれ、痛みが緩和されます。
近年急速に普及しているVRリハビリテーションは、鏡療法をさらに進化させた手法です。ヘッドマウントディスプレイを装着することで、360度の没入空間の中で欠損部位がリアルタイムに動く映像を体験できます。両足を切断して鏡療法が適用できない患者や、視覚的な錯覚をより強固に脳へ定着させたい難治性のケースにおいて、痛みのスコアを半減させる臨床データが相次いで発表されています。