大学入試センターおよび大手予備校が公開している過去の模試正答率データや学習履歴分析によると、高校化学基礎において「同位体と同素体」が関わる大問1の小問正答率は、毎年60〜70%前後で停滞する傾向が見られます。一見すると単純な基礎知識問題でありながら、およそ3人に1人が失点している計算です。
教育心理学および認知科学の観点からこの原因を分析すると、人間が類似した用語を記憶する際に生じる「干渉効果」が大きく影響しています。文字面が「同〇体」と3文字中2文字一致しているため、用語の記号的な丸暗記だけを行っている生徒は、脳内で情報の引き出しが混線してしまうのです。
受験生の質問掲示板やSNSでのつまずきの声を検証すると、「黒鉛とダイヤモンドの関係を聞かれて、とっさに同位体を選んでしまった」「中性子の数が違うという定義を同素体だと勘違いしていた」といった告白が数多く見られます。
こうした混乱を根本から防ぐためには、「漢字の意味」に着目する認知戦略が極めて有効です。
- 同「位」体:周期表で同じ「位(位置=原子番号)」にある原子同士。
- 同「素」体:同じ「素(元素)」からできている異なる物質(単体)同士。
漢字の成り立ちと物理的意味を結びつけることで、試験本番の極度の緊張下でも思考がブレない強固なスキーマ(知識構造)を構築できます。