世間一般には「テレビに出なくなった=消えた=人気が落ちた」と解釈されがちですが、からくりどーるの軌跡はそれとは全く異なります。彼が画面から距離を置いたのは、明確なプロデュース戦略とエンターテインメントへの原点回帰によるものでした。
当時の特番インタビューや関係者への取材によると、からくりどーる本人はテレビの「短い尺で手品の一瞬だけを切り取る演出」に対して、マジック本来の魅力である「空気感の共有」や「観客との心理的な対話」が削ぎ落とされてしまうジレンマを抱えていたといいます。
テレビバラエティの消費サイクルの速さに身を委ね続けるのではなく、自身の名を冠したプロジェクトチームを作り、後進を育成しながら生のマジックを届ける拠点を築く――そう決意して結成されたのが「劇団からくりどーる」でした。つまり、メディアから「消えた」のではなく、タレントから「興行主・演出家」へと自らフィールドを移行させたというのが真相です。