自然界の植物なら何でも口にするわけではなく、植物側も昆虫の食害から身を守るために強力な化学物質(毒素)を蓄えています。採集時にバッタが食べない草と注意点を把握しておかなければ、投入したエサが原因で即死することもあります。
特に危険なのは、アルカロイドなどの神経毒や心臓毒を含む植物です。スイセン、ヒガンバナ、アジサイ、キョウチクトウ、ジャガイモの芽や葉、アサガオなどは絶対に与えてはなりません。また、道端や公園の植え込みで採取する場合、自治体や管理者によって除草剤・殺虫剤が散布されていないかを事前に確認する警戒心が求められます。
もう一つの重大なトラブルが、飼育ケース内での悲惨な共食いです。バッタは草食昆虫として認知されていますが、飼育下では高確率でバッタの共食いが発生します。その主たる理由は以下の3点に集約されます。
- タンパク質・塩分の極端な枯渇:植物の葉だけでは筋肉や外骨格の形成に必要なタンパク質が不足し、手近な仲間の体を齧って補おうとします。
- 飼育密度の過密:狭い空間に過剰な個体数を詰め込むと、縄張りストレスと接触刺激から攻撃性が跳ね上がります。
- 脱皮時の無防備状態:脱皮直後のバッタは体が柔らかく動けないため、周囲の個体から「格好の栄養源」として標的にされます。
この惨劇を防ぐ対策として、飼育密度を落とすことはもちろん、週に1〜2回程度、煮干し、かつお節、金魚のエサ、水でふやかしたドッグフードをごく少量だけケースの隅に置く手法が極めて効果的です。必要なアミノ酸が満たされることで、仲間を襲う動機を劇的に抑え込むことができます。