日常会話では混同されがちな「唐揚げ」と「竜田揚げ」ですが、日本料理における定義と調理特性には明確な境界線が引かれています。一般的に唐揚げは、食材に小麦粉や片栗粉、またはその混合粉を薄くまぶして揚げる、あるいは下味をつけずに素揚げするものまで含む包括的な呼称です。これに対し、竜田揚げは醤油・酒・みりんベースの濃い合わせ調味料に漬け込み、片栗粉のみをまぶして揚げる調理法を指します。奈良県の竜田川の紅葉と白い波しぶきに見立てたという歴史的由来の通り、濃い赤褐色の肉と白い粉吹き衣のコントラストが本来の姿です。
仕上がりを左右する最大の要因は、片栗粉と小麦粉の違いによる吸油率の差です。薄力粉などの小麦粉は粒子が細かくグルテンを含むため、衣がしっとりまとまりやすい反面、揚げ油を約15〜18%吸収します。一方、純度100%の片栗粉(馬鈴薯デンプン)は加熱によって急速に水分を放出して網目状の硬い結晶構造を作り、吸油率は約8〜11%に抑えられます。この低吸油率こそが、時間が経過しても油戻りによるベタつきを防ぎ、お弁当箱の中でもカリカリ感を維持し続ける科学的根拠です。