「婚約指輪と結婚指輪の両方必要か」という問いに対して、最初から「婚約指輪はいらない」と判断するカップルは年々存在感を増しています。ブライダル総研などの各種市場調査によると、婚約記念品として婚約指輪を用意しなかった(結婚指輪のみ選んだ)層の割合は約30%〜40%に達しています。実に3組に1組以上が婚約指輪を見送っている計算です。
なぜここまで婚約指輪離れが起きているのか。現場取材やユーザーの手記から浮き彫りになった「いらないと言われる決定的な理由」は、主に次の3点に集約されます。
第1の理由は、「日常生活で着ける機会が極端に少ない(タンスの肥やし化)」です。大きな立て爪のセンターストーンがあしらわれた婚約指輪は、衣類への引っかかりや衝突による石取れの恐れがあり、家事や育児、デスクワークの現場では着用しにくいのが実情です。「友人の結婚式や年数回の記念日ディナーにしか出番がなく、何十万円もかけるのはもったいない」という生活者目線のシビアな判断が働きます。
第2の理由は、「将来への経済的な実利優先」です。住宅購入の頭金、ハネムーンの旅程アップグレード、出産・育児資金への備えなど、インフレ傾向が続く社会情勢下で、手元資金の使い道を「モノ」から「コト」や「将来の安心」へ振り分ける選択が支持を集めています。
第3の理由は、「相手への遠慮と価値観の不一致」です。女性側が「本当は欲しいけれど、彼の経済力を気遣って『いらない』と言ってしまった」、あるいは男性側が「結婚指輪だけで十分だろう」と独断してプロポーズした結果、後になって「やっぱり欲しかった」という感情のしこりを生むケースが後を絶ちません。婚約指輪なしを選択する場合は、双方が心底納得しているかどうかの丁寧な意思確認が不可欠です。