インターネット上の掲示板やSNSでは、本作について「あまりの不気味さに苦情が殺到して打ち切られた」「低視聴率で途中で終了した」という言説がまことしやかに語られることがあります。しかし、当時の放送データおよび局側の編成資料を精査すると、打ち切り説は明白な事実無根の誤解であることが判明します。
本作が放送された1999年7月クール(6月28日〜9月13日)の「月曜ドラマ・イン」枠は、もともと夏休みの改編期に合わせた全10話構成でスケジュールが組まれていました。当時の平均視聴率は約9〜11%台を推移しており、同枠の平均水準を十分に維持していました。それにもかかわらず打ち切りと誤認された主因は、そのあまりにも救いのない最終回(第10話)の演出にあります。
最終回で描かれたのは、喪黒福造が特定の個人を破滅させるだけでなく、街全体、あるいは視聴者自身に牙を向くような不気味な幕切れでした。ターゲットとなった男が約束を破り、社会的・精神的に完全に崩壊した後、喪黒は夜の闇に紛れながらカメラ目線で静かに微笑みかけます。「あなたの心の隙間、本当にお埋めできましたかな……? ホッホッホッ……」という台詞とともに、雑踏の中へと姿を消していく喪黒の後ろ姿。物語としての明確な大団円を設けず、不条理の恐怖を現実世界にそのまま放り投げたような後味の悪さが、視聴者に「突然打ち切られたかのようなトラウマ」を強く植え付けたのです。
ネット上の評判を調査しても、リアルタイム世代からは「月曜の夜から鬱になった」「伊東四朗の顔が夢に出てきて眠れなかった」という恐怖の声が目立つ一方、大人になった視聴者からは「人間の愚かさをここまで冷徹に描いたドラマは他にない」「伊東四朗の芝居は鳥肌モノだった」と、芸術性の高さを称賛する声が圧倒的多数を占めています。