フィギュアスケートのスピンは、多種多様に見えても根本となる姿勢は「アップライト姿勢」「シット姿勢」「キャメル姿勢」の3種類に大別されます。採点上、これらは明確に身体の角度や関節の位置によって定義されています。
まず、氷面に対して立った状態で回転するアップライトスピンは、初心者からトップ選手まで幅広く用いられる基本姿勢です。ここから派生した代表格が、上体を後方へ大きく反らせるレイバックスピンや、ブレード(エッジ)を手で掴んで頭上高く持ち上げるビールマンスピンです。特にビールマンスピンは、驚異的な柔軟性と体幹の強度が求められ、女子シングルを中心にプログラムのクライマックスで絶大な存在感を放ちます。
次に、膝を深く曲げて腰を落とすシットスピンは、滑走脚の太ももが氷面と少なくとも平行になる深さ(膝の角度が90度以下)が要求されます。低重心でコンパクトにまとまるため、高速回転を生み出しやすい特徴があります。上体を前に倒すフォワードシットや、横に捻るシットサイドウェイズなど、多彩な変化が存在します。
そして、上体を前傾させ、フリーレッグ(浮かせている脚)を腰より高い位置で後方へ水平に伸ばすのがキャメルスピンです。アラベスクのような水平の「T字」を描く姿勢であり、股関節の柔軟性と強固なバランス感覚が不可欠です。ドーナツのように背中を反らせてブレードを掴むドーナツスピンや、上体を上に向けるキャメルアップワードなど、独創的なバリエーションが数多く開発されてきました。
さらに、ジャンプ動作から直接スピンへ入るフライングスピン(フライングシットやフライングキャメルなど)や、演技中に回転軸となる足を替える「足換えスピン」、3つの基本姿勢を1つのスピン内で次々に変化させるコンビネーションスピンなどがあり、これらをプログラムの構成要件に合わせて組み込むことが求められます。