プリキュアの作画崩壊がネット上で大きな話題となる背景には、シリーズが持つ「平均的な作画レベルの高さ」と「瞬間的な乱れ」との激しいコントラストが存在します。普段が極めて高水準だからこそ、わずかなデッサンの狂いや線の簡略化が目立ってしまう構造です。
プリキュア作画崩壊の主な理由を紐解くと、まず直面するのが「1クール・2クール限定の深夜アニメとは根本的に異なる制作環境」です。プリキュアは1年間にわたって約48〜50本を途切れなく納品し続ける通年アニメーションであり、東映アニメーションの制作スケジュールは常にギリギリのローテーションで運用されています。
テレビアニメの制作現場では、一般的に1話あたり約3,000〜4,500枚の動画用紙が使用されますが、戦闘アクションが激しいエピソードでは6,000枚を超えるケースも珍しくありません。すべてを同じ密度で制作し続けることは物理的に不可能なため、現場では意図的な「抜きどころ」と「力の入れどころ」が設定されます。このリソース配分の偏りが、ファンから変身バンクのクオリティ格差や通常回の緩急として認識される最大の要因です。
さらに、深夜アニメや配信特化型作品の急増に伴うアニメーターの人手不足と制作裏事情が、制作ラインの逼迫に拍車をかけています。日本動画協会の業界動向レポートでも指摘されている通り、国内の動画・原画マンの稼働率は限界値に達しており、スケジュール遅延が発生したエピソードでは、作画監督が全カットの修正を監修しきれないままオンエア納品を迎えてしまう事態が起きるわけです。