リリースから長い年月が経過した2026年現在、私たちが直面している社会の分断や言葉の暴力という現実を前に、『BAD』の持つテーマ性はむしろかつてないほどのリアリティを帯びている。「誰が真に強いのか」という問いかけは、他者からの評価に揺れる現代人の心にダイレクトに突き刺さる。
音楽評論家の間でも、この楽曲に対する再評価がさらに深まっている。単なるディスコ調のヒットメーカーという枠を打ち破り、みずからの内面にある不安や社会への抗議を前衛的なポップアートへと昇華させた点だ。マイクの前で放たれた魂のシャウトは、自己表現の本質を求めるすべての表現者へのエールとして、いまも色あせることなく脈打っている。