退職金の税金で手取り激減?2026年増税論の真相と損しない計算術

退職金の税金で手取り激減?2026年増税論の真相と損しない計算術

退職金の税金で手取り激減?2026年増税論の真相と損しない計算術についての疑問解決ガイドをお届けします。

退職金の手取りを巡っては、ネット上で誤った言説が流布している領域が2つ存在する。それが「iDeCo(個人型確定拠出年金)の一時金受け取り」と「会社都合退職」の税務処理だ。

資産形成の王道として定着したiDeCoだが、iDeCo一時金と退職所得控除の併用ルールには極めて複雑な重複排除規定が存在する。iDeCoを一時金として受け取る場合も「退職所得」の扱いとなり、退職所得控除を消費する。ここで問題となるのが、受給するタイミングの前後関係だ。

  • iDeCoを先に受け取り、退職金を後に受け取る場合:受給の間隔が「前年以前19年以内(いわゆる20年ルール)」に該当すると、iDeCoの加入期間と会社の勤続期間が重なる部分について、退職金側の退職所得控除枠が減額調整される。
  • 退職金を先に受け取り、iDeCoを後に受け取る場合:受給の間隔が「前年以前4年以内(いわゆる5年ルール)」であれば退職所得控除が調整されるが、5年以上空ければiDeCo受給時に再び加入年数分の控除枠をフル活用できる。

「iDeCoを60歳で先に一時金受取し、65歳で会社の退職金をもらう」という計画を立てていた場合、退職金側の控除枠が大きく削られ、想定外の重課税を被る結果となる。出口戦略の順序を逆にするか、あるいは年金形式受取(公的年金等控除の適用)への分散を視野に入れる必要がある。

また、会社都合退職の退職金税金に関しても誤解が多い。「会社都合なら特別な非課税枠が上乗せされる」という言説が散見されるが、税法上の計算式や退職所得控除額は自己都合退職と全く同一である。ただし、会社都合退職によって「加算金(特別割増退職金)」が上乗せされた場合、その割増分もすべて退職所得として扱われるため、給与扱いで受け取るよりも税制面で圧倒的に有利になる。自己都合から会社都合への切り替えは、税金そのものの優遇ではなく、割増退職金の獲得と失業手当(基本手当)の待機期間免除において真価を発揮する。

前田 葵
著者

前田 葵

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。