なぜ人は、客観的に見れば自分に非がある場面であっても「他人のせい」にしてしまうのでしょうか。この背景には、人間が生まれ持つ心理的な安全装置が関係しています。
社会心理学における代表的な枠組みである原因帰属理論(Attribution Theory)では、人間は出来事の要因を「内的な要因(自分の能力・努力)」か「外的な要因(運・難易度・他者の妨害)」のいずれかに帰属させる傾向があると説明されます。他責傾向が強い人は、成功したときは「自分の実力(内的帰属)」と誇り、失敗したときは「他人の不手際(外的帰属)」と処理する「自己奉仕バイアス(Self-Serving Bias)」が極端に強く作動しています。
一見すると傲慢で強気に見える「他責的な人」ですが、心理学的な深層を掘り下げると、実は極端に自己肯定感が低く、傷つきやすい脆い自我を抱えています。失敗や無能さを自認した瞬間にプライドが崩壊してしまう恐怖から無意識に心を守るため、防衛機制(投射や合理化)を発動させて他者を攻撃し、責任を外部へ転嫁しているのが実態です。