怪我や病気で心身が弱っている療養期間中、「リハビリ担当を好きになってしまった」と思い悩む患者は決して珍しくありません。この現象は個人の意志の弱さではなく、臨床心理学において広く知られる「陽性転移(Positive Transference)」という心理メカニズムで説明がつきます。
陽性転移とは、治療者に対して親愛の情や信頼、さらには恋愛感情を投影してしまう現象を指します。リハビリでは1回あたり20分〜40分程度、1対1の密室に近い環境でパーソナルスペース(他者が入ると不快に感じる境界線)の内側にセラピストが踏み込みます。弱っている自分を無条件に励まし、回復を共に喜んでくれる姿は、心理的な安全基地として強く脳に刻まれるのです。
さらに、リハビリ中の身体的負荷による心拍数の上昇が、恋愛感情のドキドキと錯覚される「吊り橋効果」も相まって、憧れが急速に強い恋心へと発展しやすい土壌が整っています。