「ケチャップを混ぜるだけ」と聞くと手抜き料理のように思われがちですが、調理科学の観点から見れば極めて理にかなったアプローチです。プロがケチャップを使う理由は、ケチャップが単なるトマトペーストではなく、玉ねぎ、醸造酢、糖類、香辛料が絶妙なバランスで煮詰められた「完成された濃縮調味ベース」だからに他なりません。特にトマトに含まれるうま味成分・グルタミン酸の含有量は100gあたり約1000mg前後と、自然食材の中でもトップクラスを誇ります。
この強烈なうま味のベースに、複雑なスパイスや野菜・果実エキスが溶け込んだソース類を掛け合わせることで、短時間で何時間も煮込んだかのような重層的な味わいが生まれます。ここで極めて重要になるのが、調味料同士の配合バランスです。
最も王道とされるケチャップとウスターソースの黄金比は「2:1」から「1:1」です。軽やかでフルーティーな酸味を残しつつキレを出したいときはウスターソースを、濃厚でとろみのある舌触りを重視する場合はケチャップ中濃ソース配合比率を「1:1」に設定するのが基本設計となります。ウスターソースに含まれる酢酸やシナモン、クローブなどのスパイス香が、ケチャップの甘みを引き締め、肉の脂っぽさを綺麗に中和してくれるのです。