ダンススタジオのタイムテーブルに並ぶ「ガールズ」という表記は、ストリートダンス界においては一般的にガールズヒップホップ(Girl's HipHop)を指します。広義にはジャズダンスの要素が濃い「ジャズヒップホップ」や、ハイヒールを履いて踊る「ヒールズ(Heels)」、ポージング主体の「ヴォーギング(Vogue)」なども含まれる場合がありますが、クラス名として単に「ガールズ」と記載されている場合は、ヒップホップをベースにしたフェミニンなスタイルを指すのが業界の標準規格です。
このジャンルの土台には、ガールズヒップホップの歴史と経緯が深く刻まれています。1990年代から2000年代初頭にかけて、男性中心だったストリートヒップホップシーンにおいて、ジャネット・ジャクソンやビヨンセ、デスティニーズ・チャイルド、シアラ(Ciara)といったアメリカのトップディーヴァたちが、女性ならではのしなやかさと力強さを同居させた振付をミュージックビデオで次々と披露しました。
日本国内では、安室奈美恵の圧倒的なライブパフォーマンスや宇多田ヒカルのバックダンサーシーンを通じて爆発的に普及。男性的なストリートの無骨さに対抗し、「女性の身体構造だからこそ美しく映えるストリートダンスをつくる」という現場の振付師たちの探求から日本独自のジャンルとして体系化が進みました。
かつては「ヒップホップの派生系」と見なされていたこのスタイルは、XGやLE SSERAFIM、BLACKPINKをはじめとするハイレベルなガールクラッシュ系グループの世界的大ヒットを受け、ジェンダーフリーな表現力とインナーマッスルの強靱さを誇る最高峰のコレオグラフィージャンルへと昇華しています。