子豚の丸焼きと一口に言っても、地域や文化によって仕上がりと味わいは大きく異なります。世界的に名高い代表格が、中華料理の「乳猪(ルーヂュー)」、フィリピン料理の「レチョン(Lechon)」、そしてスペイン料理の「コチニーリョ(Cochinillo asado)」です。
広東料理の華である中華料理の乳猪は、飴色の皮を極限までクリスピーに焼き上げ、特製の甘味噌(海鮮醤など)や薄パン(パオ)と共に皮を中心に味わう洗練されたスタイルです。一方、祝祭に欠かせないフィリピン料理のレチョンは、腹の中にレモングラスやニンニク、タマネギをぎっしり詰め、炭火でじっくり回転させながら焼き上げます。ハーブの香りが肉全体に行き渡り、濃厚なレバーソースをつけて豪快に食べるのが醍醐味です。
伝統的な窯焼きで知られるスペイン料理のコチニーリョは、生後数週間の母乳だけで育った子豚を用い、塩とラードのみでシンプルに焼き上げます。皿の縁で肉が切れるほど柔らかく、ミルキーで澄んだ脂の甘みが特徴です。実食者の間でも「豚肉特有の臭みが一切なく、皮のスナックのような香ばしさとトロける肉質のコントラストが唯一無二」と極めて高い評価を集めています。