1960年代後半から1970年代にかけて、緊縛文化は大衆化のフェーズを迎えます。その立役者となったのが、官能小説の巨匠・団鬼六です。『花と蛇』をはじめとする名作群で一世を風靡した団鬼六は、自ら雑誌『SMセレクト』などを主宰し、文学とグラビアを融合させた一大カルチャーを創出しました。
さらに、日活ロマンポルノの隆盛がこの動きを加速させます。谷ナオミら名女優たちが体当たりで挑んだ劇中の緊縛シーンは、映画美学としても高い評価を獲得し、昭和サブカルチャーにおける緊縛表現は日本映画史の重要な1ページとして定着しました。アングラな地下水脈から湧き出た美意識は、こうしてメディアの枠組みを飛び越え、日本人の大衆的イマジネーションを大きく刺激したのです。