中村俊太氏が華やかな芸能界に別れを告げた直接の契機は、2009年4月に発生した乾燥大麻取締法違反(所持)の疑いによる現行犯逮捕でした。当時31歳。大河ドラマへの出演歴も持ち、これから本格的な役者としての深みを増していくと期待されていた矢先の出来事でした。
初犯かつ所持量が微量であったこと、本人が深く反省していたことから、司法判断としては起訴猶予処分が下されました。しかし、社会的な影響は計り知れませんでした。事件直後、所属事務所の社長でもあった父・中村雅俊氏が開いた緊急記者会見は、平成の芸能史に残る壮絶な場面として今も記憶されています。
会見の壇上に現れた雅俊氏は、終始涙を拭いながら深々と頭を下げ、厳しい言葉を絞り出しました。「事務所の社長としては即座に解雇し、芸能界を引退させます。役者としての道は完全に断たせます」。一方で、父親としての心情を問われると、「親としての責任は一生消えない。あいつをもう一度真っ当な人間に育て直すのが私の義務です」と慟哭交じりに語ったのです。
甘やかした温情による復帰を一切許さず、社会的な落とし前として「即時引退」を父親自らが突きつけたこの決断こそが、結果として俊太氏に逃げ道を塞ぎ、自らの力だけで再起するための覚悟を植え付ける契機となりました。