『暗殺教室』を語る上で避けて通れない最大のミスリードが、「死神」というコードネームの継承関係です。物語中盤に登場し、卓越した暗殺技術と変装術で3年E組を震撼させた男は二代目死神であり、彼が激しい憎悪を向け、かつて師と仰いでいた先代こそが初代死神=殺せんせーの人間時代でした。
初代死神は、スラム街に生まれ落ち、名前すら持たずに殺しの技術だけで裏社会の頂点へ登り詰めた「完全なる個」でした。自身の肉体すら改造し、心拍数や体温の偽装、さらには頭蓋骨の形状まで微調整してあらゆる人間に成り代わる神業を誇り、世界の要人を震え上がらせていたのです。
一方で、読者が「死神」として初めてその姿を目撃する二代目は、初代の卓越した暗殺術に心酔し、弟子入りを志願した青年でした。しかし、二代目が受け継いだのは外面的な殺人スキルに過ぎず、初代の真の凄みである「暗殺者としての冷徹な孤独と自律心」を共有することはありませんでした。この二人の認識のズレが、後に国家規模のバイオハザードと3年E組を巻き込む大惨事へと発展していきます。