お盆行事は日本全国一律ではなく、地域ごとの暦(カレンダー)の違いや各仏教宗派の教義によって取り扱いが大きく異なります。生活文化研究所や各地の寺院が発信する情報をもとに、精霊馬・精霊牛の基本スペックと文化的相違点を比較整理しました。
地域差に着目すると、東京都心部や横浜の一部、静岡県の一部などでは7月15日前後に新暦のお盆を行うため、7月13日から飾られます。一方、全国の8割以上の地域では旧暦換算の8月15日前後(月遅れ盆)に行われます。また、京都などの一部地域では、13日にはきゅうりの馬だけを飾り、送り盆の16日になって初めてなすの牛を出すという、移動の役割分担をより厳密に時間差で表現する風習も残っています。
さらに注目すべきは宗派による見解の相違です。国内で信徒数の多い浄土真宗では、「亡くなった人は阿弥陀如来の導きによってすぐに極楽浄土へ往生し、仏となっている(往生即成仏)」と教えられます。霊がこの世とあの世を行き来するという考え方自体が存在しないため、教義上は精霊馬や精霊牛を飾る必要がありません。ただし、地域のコミュニティ行事や個人の心情として飾る家庭もあり、近年は厳格な教条主義よりも個人の追悼の念を尊重する寺院が増加しています。